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根管治療予後不良の原因(マイクロやラバーダム使用以前の問題点)
コラム
2022/01/09
当院で根管治療希望の患者様の訴えで多いのは、他院で根管治療を半年以上、1年以上続けているが全く症状が取れないという訴えです。
根管治療は、長く続ければ続けるほど外部からの感染リスクが高くなります。
なぜなら、借り詰め(蓋)では完全に内部への細菌侵入をシャットアウトすることが難しい。
逆にいうとすぐに取れてしまう仮詰めは、内部に口の中の細菌が侵入しやすい状態になっているのです。
また、根管内に入れて消毒する薬が強すぎる場合も、長期間使用で根の先の組織(根尖外部の組織)に障害が生じて炎症が持続する場合もあります。
根管治療は、根管内を触れば触るほど元々根管が持っている形を壊すことになり処置が難しくなります。
さらに根管内が壊れた状態で、外部からの細菌感染が起こると更に症状が悪化し根管治療が難しくなります。
保険治療でこのような状態に陥りやすいのも事実だと思います。
なぜなら保険治療では、短時間に根管治療行わなければいけないので実際に治療時間を十分に確保できないということが一つの原因に挙げられます。
上顎大臼歯では治療する根管が約3~4本、下顎大臼歯でも約3~4本は普通に存在します。(処置する本数が多い)
また、2回目以降の根管治療を行う場合には「麻酔する時間、仮詰めを除去する時間、根管内の薬を洗う時間、前回の根管治療時の状況を手指感覚で思い出す時間」など時間を費やしてようやく根管治療を始めることが出来るという手順になります。
よって、30分治療時間を確保していても治療前段階に掛かる時間をロスすることを考えると実際の治療時間は非常に限られています。
同じ時間内に患者様を2~3人同時並行で診察されている歯科医院などの場合では、根管治療に全く時間を費やせないということも保険診療では起こりがちです。
よって保険の根管治療で治療回数が掛かるのは、上記の事柄と関係が多いかと思われます。
理想は、根管治療の時間を十分に確保(1時間以上)し、効率よく一気に治療を進めることが望まれます。
しかし、現在の保険診療体制では、多くの歯科医院でそれは難しいと思います。
近年の根管治療は、マイクロスコープ(顕微鏡)やラバーダムが注目されがちですが、実は治療時間の効率化というキーワードは、根管治療の予後に非常に影響を及ぼします。
費用は掛かりますが、自由診療の自由度を生かし効率的な治療を行うことは、根管治療の予後を良好に保つ選択肢の一つではないかと私は考えます。
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